DTPを生業の一つとしている筆者です。
ページレイアウトソフト「Adobe InDesign(アドビ インデザイン)」。
書籍他印刷物の制作に携わる方なら、おなじみのDTPソフトですが、先日筆者の元にクライアントさんからこんな問い合わせがありました。
弊社で使っているInDesignのバージョンは2020なのですが、取引先からInDesign 2019で作ってほしいと依頼がありました。
2020で作成したデータを取引先で2019で開けるのでしょうか?
InDesignはWordなどと違ってどのバージョンでも開いたり編集したりが自由にできないため、バージョンの管理がめんどくさいです。
このクライアントさんへの筆者の回答内容をそのまま記事にしました。
InDesign(インデザイン)のバージョンの確認方法
InDesignのみでなく他のAdobeソフトも同様ですが、2019/2018などと年度表記のバージョンと、v14/v15といったソフトウェアのリリースバージョンとがあるので、ややこしいです。
対応をまとめると次のとおりです。
- Adobe InDesign CC 2020(バージョン15.0.1)
- Adobe InDesign CC 2019(バージョン14.0)
- Adobe InDesign CC 2018(バージョン13.1)
- Adobe InDesign CC 2017 (バージョン12.0/12.1/13.0)
- Adobe InDesign CC 2015 (バージョン11)
また、ソフトウェアのリリースバージョンの調べ方は、[ヘルプ]>[InDesignについて]を選択します。
以下のようなクレジットが出てきまして、左上の方にバージョンが表記されています。
このクレジット画面には閉じるの「✕」が右上にありませんが、画面のどこかをクリックすると消えます。
InDesignの互換性 バージョンダウンはできる?
InDesign2020からInDesign2019へなど、バージョンダウンして(下げて)保存することはできるのでしょうか?
答えは、半分YES 半分NOです。
InDesignで作成したドキュメントを、作成したバージョンよりも古いバージョンのInDesignでドキュメントを開くためには、IDML(InDesign Markup Language)(拡張子.idml)形式で保存します。
古い下のバージョンに保存するのではなく、IDMLという中間ファイルを介して下位バージョンのInDesignで開けるようになるということです。
InDesignファイルを互換ファイルIDMLで保存する方法
InDesignファイルを、下位のバージョンのInDesignで開くために、中間ファイルのIDMLに保存する方法は次のとおりです。
特にすることはないのですが、[ファイル]>[パッケージ]でリンクファイル含めてパッケージすると、自動的にIDMLファイルも生成されて同じパッケージフォルダに保存されます。
このIDMLファイルを下位のInDesignで開きます。
IDMLファイルの中身はほぼXMLと思って差し支えなく、XMLだからこそInDesignのバージョンをまたいでも開けるということですね。
バージョンの互換性は保証されない
InDesignのファイルのバージョンを中間ファイルを介してダウンすることはできますが、互換性は保証されていない点に注意です。
アドビの公式アナウンスでは「旧バージョンで開くときにズレる可能性がある」としており、レイアウトの維持の保証はしていません。
InDesign の特定のバージョンに固有の機能で作成したコンテンツを古いバージョンで開くと、コンテンツが壊れたり、変更される場合があります。旧バージョンでドキュメントを開く場合は十分に注意してください。
InDesignのバージョン間の互換性をテストしてみた
InDesignのバージョン間の互換性が保証されず、別のバージョンで開くとズレたり予期せぬ不具合がある可能性とのアドビのアナウンスしています。
実際はどうなのかとテストしてみます。
こちらがInDesign 2020(v15)で作成した状態。
フルページ版はこちら:InDesign-test-2020
その後、IDMLファイルに変換し、InDesign 20190(v14)でIDMLファイルを開いた状態です。
フルページ版はこちら:InDesign-test-2019
テキストがリフローしてしまったりはしていませんね。
InDesignのファイルを上位バージョンで開く
逆にInDesign 2019(v14)で作成したファイルを、InDesign 2020(v15)で編集したい場合はどうすればよいのでしょうか。
この場合は、InDesign 2019(v14)で作成したInDesign(.indd)ファイルInDesign 2020(v15)で開けばOKです。
この場合も、レイアウト等の維持は保証対象外ですので、何らかの事情でソフトのバージョンを合わせられないときのみにしましょう。
まとめ
InDesign 2020(v15)で作成したデータをInDesign 2019(v14)で開けるのかという疑問を検証してきました。
今回のテストではバージョンをまたいでもレイアウトには影響がありませんでしたが、想定外のことが起こることもありそうですので、ファイルの編集は全員が同じバージョンを使う前提が無難です。
コメント