「見ざる言わざる聞かざる」とは良く言いますが、
「余計なことに口出ししたり首突っ込んだりしないほうがお得」という意味ですよね?!
私もそう思っていました。
この3匹のお猿さんがいる日光東照宮。
ここに来ると「見ざる言わざる聞かざる」本当の意味が分かります。
本当の意味は、「子供の頃には悪事を見ない、言わない、聞かない方が良い」という意味なのですって!
日光東照宮の三猿について
世界遺産、日光東照宮にあるこの3匹のお猿さんの彫刻。
3匹合わせて「三猿」と言い、”さんざる”または”さんえん”と読みます。
「三猿」の彫刻は重要文化財でもあります。
東照宮についてちょうどこの鳥居のあるあたり、後ろを振り向くとこの三猿があります。
重要文化財「三猿」
「見ざる言わざる聞かざる」の重要文化財「三猿」のデータを見てみます。
製作年: 不明ながら江戸時代前期であると言われている。
作者: 不明ながら左甚五郎であると言われている。
パネルの大きさ: 横幅:142cm 高さ:44cm
大修理: 1952年(昭和27年)、2017年(平成28年)
日光東照宮の場所
「三猿」のいる日光東照宮の場所は次のとおりです。
日光東照宮は、関東地方在住だと小学校の遠足などでおなじみですが、他の地域の方々にも是非一度訪れていただきたいです。
JR日光駅・東武日光駅よりバスで「中禅寺温泉」または「湯元温泉」行きで5分ほど。
「神橋」で下車して徒歩8分です。
「見ざる、聞かざる、言わざる」の本当の意味
有名な「見ざる、聞かざる、言わざる」は「余計なことに口出ししたり首突っ込んだりしないほうが得」という意味と勘違いされていることが多いです。
本来の意味は、「子供の頃には悪事を見ない、言わない、聞かない方が良い」という戒めだそうです。
ついつい、愚痴にも似たことを子供に発してしまったりしがちですが、そんなときは「見ざる、聞かざる、言わざる」を思い出したいですね。
三猿が生まれた理由
三猿を作った目的は分かりやすく生きかたを説くためです。
物語形式で人の生き方を教えています。
三猿には有名な「見ざる言わざる聞かざる」を含む、合計8面の彫刻があります。
- 母猿が手をかざして子猿の将来を想像しているところ。
- 有名な三猿。耳、口、目をふさいでいる3匹の猿。
- 座っている猿の姿。少年期の猿。
- 猿は大きな志を抱いて天を仰いでいる。
- “人生(猿生?)”では、困難があっても仲間を励ます友がいる。
- 物思いにふけっている。
- 結婚した2匹の猿。
- お腹の大きな猿。母親になって1面へと戻る。
8枚を眺めていると感慨深いものがあります。
「見ざる言わざる聞かざる」のルーツ
孔子の言動を弟子たちが記したとされる書物「論語」に「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言、 非礼勿動」(礼にあらざれば視るなかれ、礼にあらざれば聴くなかれ、礼にあらざれば言うなかれ、礼にあらざればおこなうなかれ)という言葉があります。
この「不見・不聞・不言」の教えが、天台宗系の留学僧を経由して8世紀ごろに日本に伝わったとされています。
「見ざる言わざる聞かざる」は純国産ではないのですね。
三猿以外の見どころ「陽明門」と「眠り猫」
日光東照宮で三猿以外に「へぇー」と意外と知られていない箇所をご紹介します。
陽明門
日光東照宮の「陽明門」も国宝です。
白い柱や壁、彫刻があり「あれ、塗り忘れかな?」と思ってしまいます。
これらは胡粉(こぶん:貝からつくられた顔料)で塗られているのですって。
眠り猫
日光東照宮の回路に眠り猫という彫刻があります。
この写真の下の方に「眠り猫(頭上)」と張り紙がしてありますが、張り紙がないと通り過ぎてしまうかもしれません。
眠り猫は踏ん張るような体勢で眠っています。
これは、徳川家康を守るため寝たふりをしながら、敵が襲ってきたときにいつでも飛び掛かれるよう待機しているのだとされています。
「眠り猫」の作者は不明ながら三猿の作者と同じ「左甚五郎」であるとされています。
まとめ
「見ざる言わざる聞かざる」とは、昔の人々も上手く考えたものです。
「子供の頃には悪事を見ない、言わない、聞かない方が良い」という戒めの意味ということを改めて肝に命じて、日々の生活に役立てたいですね。