本記事は
特別養子縁組では裁判を経て子供が養親の戸籍に入ると聞きました。
実際の裁判ではどのようなことが行われるのですか?
実例が知りたいです。
このような人に役立つ内容になっています。
特別養子縁組でお迎えした男の子を養育中の筆者です。
特別養子縁組における養親は、家庭裁判所に申立をし、裁判の申立人となります。
筆者もそうですが、これまでの人生で裁判所というものに出向いたことすらない方は多いはずです。
特別養子縁組の裁判では、何が行われるのか気になるところではないでしょうか。
筆者家の事例を参考までに紹介します。
特別養子縁組の裁判の流れ(事例)
特別養子縁組の裁判の流れは次のようなものでした。
赤ちゃんお迎え(養育 0 日目)
お迎えの方法は、児相・民間団体それぞれで異なります。
出生病院その他所定の場所に養親がお迎えに行くパターンもあれば、団体の職員が自宅につれてきてくれるパターンも。
筆者の場合は、病院にお迎えに行っています。
市町村役場にて諸手続き(養育 1日目)
居住地の役所にて諸手続き(住民票・健康保険・児童手当・児童福祉法第30条第1項に規定する届)をします。
児童福祉法第30条第1項に基づく届出とは、通称「同居児童の届出」というもので、様式は次のようなものです(目黒区の例)。
「同居児童の届出」は、直接児童相談所に提出する場合や、市町村役場に提出し市町村役場から児童相談所に送られる場合があります。
家庭裁判所に特別養子縁組成立の申立書提出(養育70日目)
特別養子縁組成立の申立書に戸籍謄本など添付資料を加えて、家庭裁判所に提出します。
郵送でも可能ですが、直接出向いて手渡しした方が良いと思いました。
理由は、コピーを持参すれば家庭裁判所で受領してもらうときに、コピーに受領印がもらえるからです。
申立書のコピーは、斡旋団体によって要不要が違いますが、団体の方で不要だった場合でも、念の為でコピーに受領印をもらって手元に取っておいた方が良いです。
いつ申し立てをしたか=裁判所が受領したかが、特別養子縁組の裁判では重要です。
申立書の受領印は受領日の証拠になります。
筆者は一度郵送し、後日出向いて受領印だけをもらいに行ったという手間となりました。
家庭裁判所 面接(養育 115 日目)
家庭裁判所で調査官と面接をします。夫婦揃って面接します。
その間、筆者家は子供も一緒に家庭裁判所に行きました。
裁判所からは、日程調整の段階で「子供を預けて来ることは可能か?」と問われますが、「連れて行く方向でお願いします」と願い出れば大丈夫です。
裁判所での調査官との面接は夫と妻別でした。
面接していない方は隣の部屋で子供と一緒に待つ感じです。
子供が楽しく過ごせる部屋になっており、絵本やおもちゃなどが置いてありましたよ!
(特別養子縁組のしょっぱなの面談の時期では、おもちゃで遊べる月齢ではありませんが)
裁判所といっても、普通の事務所です。
筆者含め裁判所に馴染みのない人は、法廷の絵が頭の中に出てきてしまうかもしれませんが、特別養子縁組の裁判において、そのような場所とは無縁です。
家庭裁判所での第一回面談の内容
面接内容は申立書の内容について詳しく聞くということです。
筆者の父母兄弟・姪甥の年齢を聞かれましたが、姪っ子の年を失念し「○○ちゃんって今何歳だっけ?」となったり、父母の年齢を聞かれ「確かお父さん今年で○○歳だったような・・」と完全にうろ覚え状態で回答しました。
この親族確認は、怪しいやつかどうかを見ているのではなく、ファミリーツリーなど養親自身の養育歴を確認するという目的と推察します。
夫婦は別々に面談を受けるので、夫と調査官の話は聞こえませんが、あとから夫に聞く限り、質問内容はほぼ同じでした。
でも、特別養子縁組の段取りにおいて、中心的に動いた方が先に面談した方が良いと感じました。
筆者家は、夫と協力して話を進めてきたものの、やりとりなど事務的なものは妻である筆者が主にしていたので、筆者が先に面談に行きました。
結果、正解だったと思いました。
段取りに詳しいほうが先に面談した方が良い理由は、「特別養子縁組を決めるまでにやったこと」など夫婦に共通する事柄は、2人目の面談では「先程奥さんから○○と聞きましたがー」というように、質問を一部抜粋したり、1人めの発言ありきで質問が展開されるからです。
1人めが適当なことを喋ってしまうと、面談2人目のときは「いや、そんなことしてないが・・」とか「俺/私、その話シラネ・・」としどろもどろになり、苦労します。笑
なお、面接の内容は、調査官の性格や方針に大きく左右されるように感じました。
第1回調査官来宅(養育 126日目)
家庭裁判所で面接してくださった調査官1名が来宅してくださいました。
正直・・この1回目の自宅調査が想像以上に細かいと感じました。
例えば、「お風呂はどうしていますか?」の質問に「空気入れ式のベビーバスでしています」と回答したら、「それを見せてもらえますか?」と風呂場に行き、ベビーバスの確認。
「本の読み聞かせをはじめた」と答えたら「その本を見せてください」と、クローゼット内の本棚へ。
風呂掃除しておいて良かった・・
クローゼット内は、正直盲点過ぎて、乱雑状態でした。
でも、調査官は部屋の綺麗さを見ているのでは決してないことは分かりましたよ。
嘘偽りなく回答すれば大丈夫です。
実親様と調査官の面談(養育? 日目)
調査官が実親様とも面談をしていますが、内容は存じません。
また、調査官が直接実親さんと面接しているとも限りません。特に遠方の場合。
筆者家の場合は、調査官が○○県(遠方)まで出向いたとおっしゃっていました。
養育260日目 第2回調査官来宅
第1回目来宅と同じ調査官1名が来宅しました。
2回めの来宅調査は、簡単なものでした。
子供がすくすく育っているなということを確認しにくる感じです。
特別養子縁組結審
「主文~~~~申立人の実子とする」といった趣旨の書面が届きます。
実親様の元にも同じ内容の書面が届きますが、必ず手渡し受領確認必須のため引っ越しや受取拒否などなんらかの理由で手渡せなかった場合は、公示になります。
公示するにあたり、通常は養親がすることは特にありません。
第四条 公告は、特別の定めがある場合を除き、裁判所の掲示場その他裁判所内の公衆の
見やすい場所に掲示し、かつ、官報に掲載してする。https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file4/H241212kajiki.pdf
公示後一定期間経っても特に実親様から異議などの申し入れがなければ、結審となります。
筆者家の場合は、公示ために「実親さんに書面が手渡せなかった状態」を確認するのに、数ヶ月時間を要しています。
このあたりも居住地によって大きく違う気がします。
なお、2020年4月から「民法等の一部を改正する法律(特別養子関係)」が施行されていますが、本記事で紹介している事例は法律施工前の話です。
現在は、裁判の段取りや結審方法など、かなり変わっている(簡略化する方向に)はずですので、ご注意ください。
住民票変更
市町村役場で住民票変更・児童手当の名義変更などの諸手続きをします。
また、会社員の場合は、健康保険組合の扶養に入れる手続きをし、国民健康保険からは抜ける手続きをします。
裁判結審後の戸籍については、次の記事で紹介しています。
特別養子縁組の裁判の注意点その他
特別養子縁組の裁判において、実際に経験して気がついたことや注意点を紹介します。
デジタルとか無縁
裁判関係の連絡はすべて、電話や封書で届きます。
あらゆる書面に「特別養子縁組事件 第○○号」と記されており、”事件”の文字を見るたびにびっくりします。
寄付にあたりそうなことは厳禁
これは調査官に言われたことですが、調査官の来宅時のお茶出しなどは厳禁です。
裁判所の職員なので、何かをもらうという行為は一切できないのだそうです。
書類を郵送するときに折れないようにクリアファイルに挟んで送付したのですが、そのクリアファイルも次の来宅のときに返却されました。
クリアファイルも駄目とは徹底しています。
ダンボールの板だったら良かったのだろうか・・
家の掃除は念入りに
これは調査官によると思いますが、来宅前の掃除は風呂とか物置的なところも掃除しておくに越したことはありません。
トイレはお使いになりませんでした。
また、家庭訪問も裁判所の調査官が来宅する場合と、裁判所から委託を受けて児相の職員が来宅する場合とがあります。
都道府県により異なるため、詳しくは各地域でお問い合わせください。
申立で使用する切手の金額が細かい
裁判所に申立をするときに、収入印紙と切手を同封しますが、切手の金額の指定が細かいのにびっくりしました。
500円切手1枚、100円切手2枚、84円切手11枚、50円切手4枚、2円切手9枚、1円切手5枚・・
といった具合です。
金額は所轄の裁判所によって異なりますのでしっかりとご確認を!
こんな細かく切って枚数を指定して買ったのは生まれて初めての経験でした。
まとめ
特別養子縁組の裁判では具体的に何が行われるのか、筆者家の事例を紹介しました。
都道府県により方針ややり方が全く違うので、詳しくは居住地の役所でご確認くださいね。
お、あっちのほうが面白そうだな
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