特別養子縁組について学ぶ・子供への真実告知で役に立つ・・・
など特別養子縁組に関する本といっても、様々な種類があります。
本記事は、書籍の著者の立場別(医師・養親など)に分類して、特別養子縁組の本や漫画を紹介します。
医師の立場から特別養子縁組を語った本
特別養子縁組にご尽力されている「さめじまボンディングクリニック」の鮫島先生。
鮫島先生の言葉を拝借するなら、「特別養子縁組という名のボランティア」として、子供の命を守る活動をしてくださっているたくさんの医師の先生方がいます。
医師が著者、もしくは医師に代わってメッセージを伝えている特別養子縁組の本を紹介します。
赤ちゃんをわが子として育てる方を求む
ノンフィンクション作家 石井光太氏が綿密な取材を重ね、特別養子縁組の生みの親と呼ばれる産婦人科医「菊田昇」氏の生涯を丁寧に書籍化した本です。
特別養子縁組が制度として成立したのは、1987年(施行は翌年)です。
菊田先生がいなかったら、もしかしたら現在でも特別養子縁組制度というものはなかったのかもしれません。
特別養子縁組の成り立ちを学べる著書として、多くの方に読んでいただきたい書籍です。
なお、「赤ちゃんをわが子として育てる方を求む」の読後の感想やレビューは、別の記事で詳しくまとめているので、ご興味ある人は御覧くださいね。
ゆりかごにそっと
諸事情のために育てることのできない新生児を匿名で特別養子縁組をするための施設である「こうのとりのゆりかご」を、日本で初めて設置したのが「慈恵病院(熊本県熊本市西区)」。
「こうのとりのゆりかご」を設置されたのが、慈恵病院の元理事長兼院長「蓮田太二」先生です。
蓮田先生が「こうのとりのゆりかご」への想いを書籍として綴られたのが、「ゆりかごにそっと」。
「こうのとりのゆりかご」は、メディアで批判にさらされることが多かったのも記憶に新しいでしょう。
それでも赤ちゃんの命を守るため、望まぬ妊娠をされた方を支援するため信念を貫いてこられた姿が、前出の菊田昇医師と重なります。
なお、「こうのとりのゆりかご」の設立は2007年でした。
以降、養親探しと赤ちゃんの斡旋は慈恵病院では行っていませんでしたが、2019年より慈恵病院にて特別養子縁組の斡旋を開始しています。
その子を、ください。
埼玉県にあり特別養子縁組の斡旋をしてくださっている「さめじまボンディングクリニック」院長「鮫島浩二」先生ご自身の執筆で、特別養子縁組について著した本「その子を、ください。」
特別養子縁組支援を行う産婦人科医のネットワーク「一般社団法人 あんしん母と子の 産婦人科連絡協議会」の本部があるのが、さめじまボンディングクリニックです。
鮫島浩二先生は、特別養子縁組の斡旋を「特別養子縁組という名のボランティア」と語っており、特別養子縁組制度設立直後からの先生の体験を著した本となっています。
妊婦さんと養子を支援する立場から特別養子縁組を語った本
医師以外にも、特別養子縁組の斡旋や妊婦さん・赤ちゃんの支援に尽力してくださっている方が大勢います。
「赤ちゃんポスト」は、それでも必要です。
Baby Boxを日本で唯一設置している慈恵病院(熊本県熊本市西区)ですが、「こうのとりのゆりかご」の運営や妊婦さんの支援は多くの方の力で成り立っています。
「こうのとりのゆりかご」のニュースや話題では、やはり院長の蓮田先生が取り上げられることが多いですが、慈恵病院の元看護部長「田尻由貴子」さんは「こうのとりのゆりかご」実現に向け、中心的役割を果たした方です。
田尻氏も看護師・相談員の立場で、自身の経験や特別養子縁組についての想いを書籍として残していらっしゃいます。
田尻氏の想いがダイレクトにタイトルとなった、「「赤ちゃんポスト」は、それでも必要です。」の出版は、2017年6月。
2017年は「こうのとりのゆりかご」の設置からちょうど10年の節目で、大きく報道もされました。
「こうのとりのゆりかご」が逆境にさらされたのもこの頃です。
田尻氏も本当は、タイトルに「赤ちゃんポスト」とは、付けたくなかったものと想像します。
「こうのとりのゆりかご」よりも認知されている名称だったので、ゆりかごの必要性を訴えるためにやむを得ない、苦渋の決断だったのでしょうね。
養親の立場から特別養子縁組を語った本
養親は職業も特別養子縁組するまでに至る経緯も、皆ばらばらです。
養親の立場から子供のことを語る本では、実子へのものととなんら変わらない愛情の他
- 特別養子縁組家族を普通の家族として認知してもらいたい
- 育て方は実子となんら変わらないことを知ってもらいたい
そんな想いをメッセージとして発信したいという出版意図の本が多いと感じています。
確かに、特別養子縁組という制度の正式名称に思いっきり”特別”って入っていますからねえ。
”特別”感が醸し出されないわけはないと私常々思います。
ちいさな大きなたからもの 瀬奈じゅん/千田真司 著
元宝塚トップスター「瀬奈じゅん」さんと舞台俳優「千田真司」さんご夫妻も養親のおひとりです。
「&family..」として、特別養子縁組を正しく知ってもらう活動を展開しておられます。
お二人が、結婚〜不妊治療〜特別養子縁組〜子育てまでのご経験を綴ったエッセイが「ちいさな大きなたからもの」
私はお二人にお会いできたことがないのですが個人的に「&family..」の活動はいつも応援しています。
「&family..」のtwitterと公式サイトは次の通りです。
twitter: @andfamily201804
webサイト:https://andfamily.jp/
特別養子縁組の漫画・小説
特別養子縁組を描いた漫画・小説を紹介します。
うちの子になりなよ
「うちの子になりなよ」は養親本人が著者の漫画です。
長い不妊治療を経て里親登録したマンガ家の古泉智浩さんご夫婦。
生後数カ月の赤ちゃん「うーちゃん」を里子として迎えます。
古泉家の悲喜こもごもが描かれた漫画です。
ある日、古泉家に児童相談所から「うーちゃん」を実子として育てませんか?という打診が来て、特別養子縁組することになりますが・・。
「うちの子になりなよ」のサブタイトルが「特別養子縁組やってみた」というなんともキャッチーなタイトルになっていますが、漫画の中身は”やってみた”のようなノリでは当然ありません。
児童相談所から連絡が来たときの古泉さんご夫婦の驚きの表情が素直に描かれていて、ほのぼのとします。
セカンド・マザー~特別養子縁組という選択
不妊治療の限界を医師言い渡された44歳の律子。
律子夫婦が「特別養子縁組」で親になるまでの試練を描く、ヒューマン・ストーリーです。
朝が来る
第147回直木賞受賞作家「辻村 深月」氏による小説。
不妊治療の末、民間斡旋団体の仲介で男の子「朝斗」と特別養子縁組した栗原夫妻。
ある日、栗原夫妻の元に、息子となった朝斗を「返してほしい」という電話が・・。
映画化もされ話題となった作品。
かぞくを編む
漫画「かぞくを編む」は、養親ではなく養子縁組を支援する側のケースワーカー「ひより」が主人公。
ひよりは、架空の民間養子縁組あっせん機関「ひだまりの子」で働いています。
真実告知に役立つ本
特別養子縁組の養子には、産みの親御さんがいることを知らせなくてはいけません。
真実告知と言います。
斡旋団体さんの養親研修では、概ね2歳~3歳ころからはじめ一回だけ真実告知すれば良いのではなくその後も、折々に成長に合わせた内容で語り続けることが必要と習います。
2歳~3歳ころからはじめる真実告知で、推奨されているのがいきなり話すのではなく、養子縁組に関する絵本を読み聞かせるところから徐々に・・というものです。
養親研修でおすすめの絵本として良く紹介されるものを中心に、真実告知の絵本を紹介します。
ねぇねぇ、もういちどききたいなわたしがうまれたよるのこと
「もういちどききたいなわたしがうまれたよるのこと」と繰り返し聞く子供とお母さんとの会話で展開される物語です。
ふたりのおかあさんからあなたへのおくりもの
こちらも特別養子縁組に関する絵本としては有名です。
「ねぇねぇ、もういちどききたいなわたしがうまれたよるのこと」と比較すると「ねえねえ・・」の方は、真実告知の導入として「ふたりのおかあさんからあなたへのおくりもの」の方は次の真実告知のステップとして、子供に読んであげると良い絵本だと思います。
真実告知は
- 父と母は2人ずついること
- 産みの親御さんは事情により育てることができなかったこと
- 産んだ子のことを大切に思っていること
を子供に分かりやすくかつ正直に伝えることに他なりません。
「ねえねえ・・」の方は、オブラートに包んであり大人の私が最初に読んだときにも養子縁組の子供の話だとパッとは分かりませんでした。
あとからじわじわ分かる、そんな絵本です。
一方、「ふたりのおかあさんから~」の方はダイレクトに2人の母の愛情を表現しており真実告知の2番目のステップの絵本だと感想を持ちました。
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